2025年8月6日水曜日

「森のホイスコーレ@天川村」体験記

(斜体は引用文)

2025年8月1日、2日参加(3日は不参加)。フォルケホイスコーレの価値観を踏襲したショートプログラム。主催は「奈良フォルケ✕京都林業女子会」。

拠点の「Toyama House ~Shiono Lab」。

「フォルケホイスコーレ」はデンマーク発祥の教育機関。デンマーク語で「フォルケ」は民衆、「ホイスコーレ」は高等学校を意味する。高校卒業後のギャップイヤーで利用する若者から、キャリアの見直しを目的の大人まで、様々なバックグラウンドを持つ人が学ぶ。日本ではフォルケホイスコーレをモデルとして「人生の学校」とも呼ばれ普及しつつある。

人間存在に根ざし、誰もが価値のある人間であり、人間同士が「対話」を通じてその存在を認め合う場として、存続してきた。創始者はデンマークで「国父」と言われるグルントヴィ。

ホイスコーレで大切にされている対話

対話には暗黙のルールがある。
1.人が話しているときにはしっかり聞く
2.意見を言いたいときは手をあげる。
3.意見がある人が全員言い終わるまで、終わらない。
4.先生も生徒も全員が対等5.必ずしも結論を求めるわけではない

ホイスコーレの雰囲気は「ヒュッゲ」

なんとなくみんなで集まって答えや正解のない話をするその空間がなによりも心地いい時間だった。心を許せる相手と明日のことなんて考えず、何にも追われずcompanyを楽しむ。それがいまの私にとってHygge(ヒュッゲ)なのかもなぁ。

【プログラム】

1.天川村フォレストパワー協議会の活動報告と施設見学
2.天河大辨財天社の案内で拝観
3.船岡山を天川斎庭の代表から案内
4.林地視察

「森のホイスコーレ@天川村」(初日)

【プログラム①フォレストパワーの活動報告】

一般社団法人天川村フォレストパワー協議会の活動報告と施設見学。先ずアイスブレークの後、フォルケホイスコーレが大切にしている「対話」について確認された。

続いて法人を運営する豕瀬さんから、林業によって地域に定住を呼び込む取り組を拝聴。その一つが間伐材をバイオマス燃料として温泉へ供給し「森も地域も元気に」を目指す。もう一つがキハダ、クロモジ、ホウなどの植林で観光と商品の原料を確保する取組。さらに林内の路網整備と再造林のこと。コンテナ苗の自給と販売の取り組みも見学。みどりの基金を活用するコーディネート力が素晴らしい。その様子は動画、“木の恵みと生きる陀羅尼助の郷、天川村の豊かな未来” で見られる。

「木々の湯」のボイラー室の見学と入浴。ここでも豕瀬さんから山並みを見ながら紀伊半島大災害後山地の水の管理に井戸を掘っていることをお聞きした。

「森のホイスコーレ@天川村」(2日目)

朝食までに散策。朝日に輝く森が待っていた。ヒオウギ、オトギリソウ、ツバメ、ウグイスの鳴き声に会う。傾斜地に石垣を施し建てられている家が興味深い。

前日の夕食は篝火の下でのBBQに鮎が用意された。朝食には自家製の味噌を使った味噌汁のもてなしを受けた。

【プログラム②天河大辨財天社参拝】

案内は井頭東洋総代。小説「天河伝説殺人事件」にでてきた五十鈴。本来鈴はその響きで邪気を祓う役割がある。ここの五十鈴はそのほか3つの魂の状態を表していると。①生魂(いくむすび):万物を生み出すいきいきとした生命力の状態、②足魂(たるむすび):働きが満ち溢れて充足している状態、③玉留魂(たまずめむすび):全体が統一され一体になる魂の状態。

神楽殿(能舞台)に用いられている檜材の素晴らしいこと。能楽「唐船」と観世元雅との関係や壬申の乱に勝利した大海人皇子(天武天皇)の話も伺った。

淡墨桜にシノブが着生。ガイアシンフォニーの舞台ともなったと。宝物庫の前の句碑は角川春樹のもので、「能の地の血脈くらき天の川」。歌碑は、「雲跳り水鼓をうてり天の川宮さだまりて龍神昇る」(保雄)。中村保雄なら『天河と能楽』の著書があると知る。

【プログラム③船岡山視察】

井頭さん曰く、「船岡山を「斎庭(ゆにわ)」にしようとしたきっかけは8年前(2011年)の紀伊半島大水害の際、三日三晩降り続いた雨で経験したこれまでに思いも及ばなかった被害と恐怖に、改めてコミュニティのつながりの必要性と自然との共生の重要性に思いを致したこと。それまでは東日本大震災さえひとごとだった」と。

登り口に銀杏と石碑があった。銀杏は雌雄合体した巨木。石碑に刻まれていたのは梵字で大日如来の種子を表す“阿字”を中心に、まわりを“光明真言”が丸く取り巻くかたちで刻まれている。我が地元の行者ケ森でもこのような碑を持って上がってお勤めをしたのではと想像。

「Toyama House」に戻って鮎が2匹入った弁当をいただいた。

【プログラム④林地視察】

午後は浅川さんの案内で2か所の山林を巡視。現状と課題をお聞きした。林道の脇とはいえ放置されている山林。かつての耕作地は植林されて、田圃の面影はないが先人のコメ作りの苦労をしのぶことはできた。浅川さんは雪駄あるいは素足で林床を歩かれる。それと知らずにアーシングをされ心地よさを無意識のうちに身体が感じているのでしょう。

ここまでで私は帰途につく。4時間かって21時前に帰宅。

【想定外の成果】

☆斎庭は高田塾で耳にしたことあるが現場を初めて見た。
☆学舎を持たない大学として「さとのば大学」があるとのこと。ミネルバ大学に似て。
☆組織における対話について再考。対話では、通常の会話とはちがい、自分の行動や発言の根源にある感情や考え方、価値観などについて掘り下げて語りあう。言動の意味を共有できず、コミュニケーションに問題が生じた場面の改善に有効。対話で期待されることは、ドミナントストーリーに気づき、オルタナティブストーリーを模索すること。対話を成立させるには当事者が傾聴、CBT、ナラティブセラピーの学習者であること、ないしは心得のあるファシリテーターの関わりが必要。
☆「天河と能楽」、「天皇はなぜ生き残ったか 」の購入動機を得た。届いた「天河と能楽」は宝物庫に収まっているであろう能面と能装束が紹介されている。能楽「天川」の詞章も書かれていていい買い物ができた。

【オプション体験】

☆初日の集合までに「みたらい渓谷」でランブリング。観瀑、イワタバコ、ヒメセンニンゴケ、ナツツツジなどに注目。
☆天川村ではヤマユリとヒオウギは決して珍しくなさそうで、そこここで見ることができた。
☆南朝黒木御所跡の南北朝和解供養碑に刻まれた文言が印象的だった。

【人生の学校でヒット】

天川村ホイスコーレ
compath
International Folkehøjskole Administration Service Japan

みたらい渓谷「光の滝」

ヤマユリ(京都では見られない)

フォレストパワー協議会で出荷待ちの燃料

神々しい塩野の朝

五十鈴

神楽殿

来迎院に雌雄合体の大銀杏

彼方に望む世界遺産

「船岡山」の船上にて

南朝黒木御所跡にて

林内視察中







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